住宅資金特別条項とは


「民事再生とは?」のページでご説明したとおり,民事再生は自己破産と違って,ご自身が所有されている住宅を手放すことなく借金を整理することができます。

民事再生を行われる方が,住宅ローンを支払い中のマイホームを守るためには,住宅資金特別条項という制度を利用する方法があります。

ただし,住宅資金特別条項を利用したからといって,住宅ローンの元本が圧縮されることはなく,住宅ローンについてははじめに契約したとおりの金額を返済しなければなりません。

支払う額がそのままなら,住宅資金特別条項なんてあまり意味がないのでは?と思われるかもしれません。

一面では,そのとおりです。住宅の価値が下がり,住宅ローン残高の方が高い場合には,経済的には,何のメリットもないのです。
ですから,当事務所では,住宅資金特別条項を利用する場合でも,民事再生を強くお勧めすることは決してありません。

ただ,住宅資金特別条項を使うと,住宅だけは,生活の本拠として是非とも守りたいという意思の強い方についてのみ,ご協力しております。
これによって,住宅ローンが滞り,住宅を手放さなければならないというような状況にある債務者でも,住宅を手放さずにすみます。

住宅ローンの返済が滞った場合(多くは,6か月程度),債務者の方は期限の利益を失うことになります。
期限の利益を失うと,住宅ローンの債権者(たいてい銀行か住宅金融公庫、年金融資、財形融資、自治体融資など)は,住宅ローンの残額を,債務者に対して一括請求することができます。

住宅ローンでは,多くの場合,債務者の不動産に抵当権が設定されていますので,債権者はその抵当権に基づき,その不動産を競売にかけ,そこから債権を回収することになります。

しかし,住宅資金特別条項を利用すると,失った期限の利益を回復させたり,住宅ローンの支払い方法の見直しをすることができるため,住宅を今までどおり守ることができるのです。

なお,住宅資金特別条項には次の4種類があり,どの住宅資金特別条項を使うかは,住宅ローン滞納の有無や,今後の返済可能額などによって異なります。

【住宅資金特別条項の種類】

(1)期限の利益回復型
→はじめの契約どおり,住宅ローンを返済しながら,別途,返済が滞った分について,期間を定めて分割で返済していく

(2)期限延長型(リスケジュール型)
→住宅ローンの期間を延ばすことによって,月々の返済金額を少なくする

(3)元本猶予期間併用型
→(2)の期限延長型を利用しても,住宅ローンの返済が困難である場合,住宅ローンの期間を延ばすと同時に,民事再生手続きにおいて,住宅ローン以外の債務の返済期間中は,住宅ローンの返済額を少なくしてもらえる

(4)同意型
→(1)から(3)のどれを利用しても住宅ローンも返済が困難な場合,住宅ローンの債権者の同意を得ることによって,さらに住宅ローンの返済方法に変更を加えることができる

なお,住宅ローンを滞納されている方で,既に,保証会社による代位弁済(保証会社が住宅ローンの債権者に弁済がなされ,債権者が保証会社にかわること)が行われていることがあります。
この代位弁済が行われてから半年が経過すると,住宅資金特別条項を利用することができなくなりますので,注意が必要です。


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